要点

  • シートマスクの最も明確な効果は、すばやく一時的にうるおいを補えることです。肌に合う処方であれば、肌表面をより柔らかくなめらかにし、わずかにふっくら見せることがあります。[1]
  • シートは美容液を肌に密着させるための形態であり、それ自体が効果をもたらす主体ではありません。水性の美容液を顔に密着させて蒸発を遅らせます。主に保湿する、肌を穏やかに整える、明るく見せる、角質を除去するといった作用のどれをもたらすかは、配合成分によって決まります。
  • すぐに感じるつやは、肌が恒久的に変化したことを意味しません。肌表面の水分量が増えると、乾燥による細かな線が目立ちにくくなり、光をより均一に反射します。しかし、1回のマスクでコラーゲンが再構築されたり、しわが消えたり、毛穴が縮んだり、ニキビが治療されたりするわけではありません。
  • 長く密着させれば、必ず効果が高まるとは限りません。製品に表示された使用時間を守り、ほかのスキンケアとの組み合わせに合う処方を選びましょう。灼熱感、強いピリつき、かゆみが生じたらマスクを外してください。
保湿成分、一時的な結果、安全な使い方をまとめた「シートマスクの効果」インフォグラフィック - シートマスクの効果:肌に実際にもたらすもの
シートマスクの効果、肌への実際の働き、保湿成分、一時的な結果、安全な使い方を解説するインフォグラフィック

シートマスクは、一時的にうるおいを補いたいときや、肌表面をより心地よくなめらかに見せたいときに、必要に応じて短時間取り入れるケアとして特に役立ちます。適切に処方された美容液や保湿剤より必ず効果が高いわけではなく、肌表面に加わった水分が失われるにつれて、目に見える変化も薄れることがあります。

したがって、重要なのはシートマスクという製品群が一律に「効く」かどうかではありません。美容液に自分の肌に適した成分が含まれているか、シートが均一に密着するか、そして期待する効果が洗い流さない化粧品で現実的に得られるものかどうかです。

シートマスクの仕組み

シートマスクは、コットン、植物由来セルロース、バイオセルロース、ハイドロゲルなどで作られた顔型の基材と、そこに含ませた液状の美容液から成ります。湿ったシートは一時的に美容液を保持する役割を果たし、マスクを着けている間、広い範囲の肌に処方を密着させ、すぐに蒸発するのを抑えます。

この密着によって、肌の最外層である角層の水分量が増えることがあります。小規模な対照研究では、あるバクテリアセルロース製マスクを1回使用した後、濡れタオルよりも顔の皮膚水分量の測定値が高まりました。一方、弾力、きめ、くすみ、落屑など、ほかの評価項目には明らかな変化が認められませんでした。[2]ここから分かる重要な限界は、シートが短時間の水分補給を助けても、パウチに表示されたあらゆる訴求が証明されるわけではないということです。

また、シートという形態だけで、すべての成分が肌の深部まで浸透するわけではありません。成分の届き方は、配合濃度、分子の性質、溶媒系、接触時間、皮膚バリアの状態を含む処方全体に左右されます。密着性が高いと接触が均一になり、乾いて浮く部分を減らせる可能性はありますが、より密着することや美容液を多く含むことは、より強いエイジングケア効果や治療効果の証拠にはなりません。

多くの場合、同じヒューメクタント(湿潤剤)や肌を穏やかに整える成分は、洗い流さない美容液でも使えます。シートが主に変えるのは、処方を顔にどのように密着させるかと、使用中の感触です。イベント前や一時的に肌が乾燥しているときには便利ですが、それによって毎日の基本的なケアが不要になるわけではありません。

現実的に期待できるシートマスクの効果

最も確かな効果は肌表面に現れるもので、処方によって異なります。1枚のマスクにすべての効果を期待せず、製品の成分表示と表示上の訴求を確認し、次のうちどの項目が当てはまるかを判断してください。

期待されるメリット 効果につながる要素 現実的な期待 重要な限界
肌のうるおいが増す 水、ヒューメクタント(湿潤剤)、装着中の水分蒸発の抑制 外した直後に肌が柔らかく、しなやかに感じられる 水分量の増加は一時的なことがあり、継続的な保湿の代わりにはならない
なめらかでふっくらした印象 乾燥した肌表面の細胞への一時的な水分補給 乾燥による細かな線やざらつきが目立ちにくくなることがある しわを恒久的に改善したり、新しいコラーゲンを作ったりする効果ではない
肌が落ち着き、心地よく感じられる 冷たく湿ったシートと、グリセリン、パンテノール、コロイド状オートミール、ツボクサなど、肌に合う成分 乾燥感やつっぱりを感じる肌を一時的に心地よくする 香料、植物成分、有効成分によって逆に反応が起こることがある
肌表面が明るく見える うるおいによって肌表面がなめらかになり、光が均一に反射すること。場合によってはナイアシンアミドやビタミンC誘導体 よりみずみずしく、均一に整った印象 すぐに現れるつやは、色素沈着が変化した証拠ではない
メイクがなじみやすい肌表面 粉をふいた状態が目立ちにくくなり、肌表面がうるおうこと その後数時間はメイクがより均一にのりやすくなることがある 美容液が多く残りすぎると、メイクや日焼け止めがモロモロになることがある

シートマスクには角質除去酸、レチノイド、ニキビケア成分を含むものもありますが、その場合の効果とリスクはシート自体ではなく、それらの有効成分によるものです。有効成分を含む処方をシートで顔に密閉するように密着させると、成分への曝露量や刺激が増える可能性があります。単なる無害な保湿工程とみなさず、スキンケア全体の中で有効成分によるケアの1回分として扱ってください。[1]

シートマスクの効果が通常は一時的である理由

使用直後の「水光肌」のような見た目は、主に肌表面の水分によるものです。水分を含んだ表面の細胞はわずかに膨らんで均一に並ぶため、肌がなめらかに見え、光をより均一に反射します。その水分が蒸発し、その後のスキンケアや日常生活が続くにつれて、見た目の効果は目立ちにくくなります。

3種類のシートマスク液と複数の装着時間を比較した無作為化研究では、25分未満の使用で短期的に水分量が増加しました。より長い装着時間では乾燥と赤みが増え、とくに40分の条件で顕著でした。ただし、参加者は28人に限られていたため、あらゆる製品に共通する推奨装着時間を定める根拠にはなりません。[3]それでも、使用直後の濡れたようなつややふっくら感を、上限なく高まる効果や持続的な効果と混同すべきでない理由は示されています。

長期的な変化には、目的に合う有効成分、適切な濃度と基剤、継続使用、紫外線対策、そして十分な時間が必要です。たとえば「コラーゲン」と表示されたマスクは肌にうるおいを与え、乾燥による線を一時的に目立ちにくくすることがありますが、その結果だけで製品が真皮に新しいコラーゲンを作ったとはいえません。同様に、ブライトニング美容液は長期的なケアを補助する可能性がありますが、1回の使用を、数か月にわたる継続的な色素沈着ケアと同じ基準で評価することはできません。

乾燥が続くことが主な悩みなら、まず水分不足肌と乾燥肌の違いを理解し、皮膚バリアを支える毎日のケアを組み立てましょう。シートマスクはそのケアを補助できますが、肌に水分や脂質を与える唯一の機会にしてはいけません。

目的に合う成分の選び方

美容液と同じように、シートに含まれる処方を読み解きましょう。シート素材は密着性や接触状態に影響しますが、肌への主な作用を決めるのは成分の組み合わせです。

  • 保湿が目的なら:グリセリン、ヒアルロン酸、β-グルカン、パンテノール、尿素などのヒューメクタント(湿潤剤)を探しましょう。ヒューメクタントは水分を引き寄せて保持しますが、非常に乾燥した肌では、その後に油分を補うエモリエント成分や水分蒸散を抑えるオクルーシブ成分による補助が必要なことがあります。ヒューメクタント、エモリエント、オクルーシブの違いでは、それぞれの役割を解説しています。
  • バリアを補い、肌を心地よく保ちたいなら:セラミド、コレステロール、脂肪酸、スクワラン、ジメチコンなどのエモリエント成分やバリアを支える成分は、肌表面をより柔らかく感じさせることがあります。強調表示された一つの成分より、完成した処方全体が重要です。
  • 肌を穏やかに整えたいなら:コロイド状オートミール、パンテノール、緑茶、ツボクサ、アラントインは一部の人に合う可能性がありますが、植物エキスだから自動的に低刺激とは限りません。また、ひんやり感じても、炎症や皮膚疾患が治療された証拠にはなりません。
  • 肌のトーンを明るく見せたいなら:ナイアシンアミド、ビタミンC誘導体、甘草由来成分、穏やかな角質除去成分は、継続的なスキンケア全体の一部として役立つ可能性があります。使用直後のつやは主に保湿によるものと考え、色素に関わる変化は一定期間継続して使用した後に判断してください。
  • 角質除去や肌のきめが目的なら:角質除去用として販売されている、または使用説明でAHAやBHAを有効成分として扱っているシートマスクは、角質除去製品として数えてください。酸配合化粧水、スクラブ、レチノイド、ほかのピーリング剤と安易に併用しないでください。酸がpH調整剤としてのみ配合されている場合、それだけで角質除去に十分な強さがあるとは判断できません。角質除去を行う適切な頻度を参考に、ケア全体の使用頻度を決めましょう。AHA配合化粧品は紫外線への感受性を高める可能性もあるため、ラベルの注意事項に従い、紫外線対策を行ってください。[4]

肌が反応しやすい場合、製品選びの手がかりとしては一般に「無香性」より「無香料」の表示が役立ちます。「無香性」と表示された製品でも、原料臭を覆う香料が配合されていることがあります。この違いは無香料と無香性のスキンケアの違いで解説しています。

シートマスクが向く人と注意が必要な人

シートマスクの保湿効果、注意点、狭い範囲で試す方法を示す「向く人と注意が必要な人」のイラスト - シートマスクの効果:肌に実際にもたらすもの

シートマスクが特に役立ちやすいのは、大きな変化ではなく、すぐに得られる控えめな効果を求めるときです。メイク前、乾燥した環境での旅行後、または肌に合う保湿処方で心地よさを高めたいときに使えます。脂性肌でも水分不足になることがあるため、乾燥肌だけの製品ではありません。べたつきや毛穴詰まりが気になる場合は、軽い使用感でノンコメドジェニック表示のある美容液を選びましょう。

次の場合は、特に慎重に使用してください:

  • 日焼けで炎症を起こしている、切り傷がある、腫れている、またはすでに灼熱感がある場合
  • 湿疹、酒さ、接触皮膚炎の症状が悪化している場合
  • 処方に、日常のほかの製品と重複する酸、レチノイド、過酸化ベンゾイル、その他の刺激性のあるケア成分が含まれる場合
  • 香料、精油、植物エキスで以前に反応が出たことがある場合
  • マスクによって強いピリつき、かゆみ、赤み、吹き出物が繰り返し起こる場合
  • シートの位置によって美容液が目、唇、鼻孔に入る場合

製品の形態上可能であれば、新しい処方はまず狭い範囲で試してください。その範囲に通常使用する量を塗り、製品に示された接触時間で試します。その部分に赤み、かゆみ、腫れが出たら使用を続けないでください。[5]試すために、開封済みの使い切りパウチを数日間保管してはいけません。開封後は表示どおりに使用するか廃棄してください。

化粧品であるシートマスクは、長引くニキビ、湿疹、酒さ、感染症、アレルギー性発疹を診断したり治療したりするものではありません。強い腫れ、呼吸症状を伴うじんましん、水疱、目の症状、または悪化し続ける反応が生じた場合は使用を中止し、医療機関を受診してください。

より効果的なシートマスクの使い方

  1. やさしく洗顔します。こすらずにメイク、日焼け止め、肌表面の汚れを落とします。余分な水分を軽く押さえ、肌を完全に乾かす必要があるかはマスクの使用説明に従ってください。
  2. 清潔な手で開封し、シートを広げます。すぐに顔にのせて大きなしわを伸ばし、美容液が目や口に入らないようにしてください。
  3. 表示された装着時間を守ります。シートがまだ濡れているという理由で使用時間を延ばさないでください。研究では、マスク素材、接触面積、装着時間のすべてが肌に接触する美容液の量を左右し、接触時間が長くなるほど曝露量が増えることが示されています。[6]
  4. 肌に異常を感じたら外します。焼けるような刺激、強いピリつき、かゆみ、腫れ、急速に強まる赤みがある場合は、表示された時間が来るのを待たずにマスクを外して洗い流してください。
  5. 使い捨てのシートは廃棄します。残った美容液を洗い流さず肌になじませるよう表示されている場合は、軽く押さえるようになじませます。洗い流すのは指示がある場合だけです。美容液が肌表面にべったり残る場合は、パウチ内の液体をすべて無理に顔へ塗らず、残った液の使用量を減らしてください。
  6. その後のケアを仕上げます。より長く心地よさを保つ必要がある場合は、肌に合う保湿剤を塗ります。朝は最後に日焼け止めを塗り、水分の多い層がなじんで肌表面の濡れた感じが落ち着いてからメイクをしてください。

シートマスクの使用頻度は、処方全体とほかのスキンケアによって異なります。シンプルな保湿マスクと角質除去用の酸を配合したマスクに、一律の使用頻度を当てはめるべきではありません。詳しい判断方法はフェイスマスクを使う適切な頻度で解説しています。ほかの製品と使う順番は、すべてのシートマスクを同じ工程に入れると決めつけず、スキンケアの使用順序を参考にしてください。

シートマスクを使う価値があるのは、肌に合う処方によって、自分が望む短期的な効果を刺激なく得られる場合です。普段の美容液と保湿剤以上の効果を感じないなら、シートは必須ではなく、使うかどうかを選べるものです。

出典

[1] American Academy of Dermatology Association(米国皮膚科学会). Do Facial Masks Work, and Should I Add One to My Skin Care Routine?(フェイスマスクの働きとスキンケアルーティンへの取り入れ方)

[2] Amnuaikit T, Chusuit T, Raknam P, Boonme P. Effects of a Cellulose Mask Synthesized by a Bacterium on Facial Skin Characteristics and User Satisfaction(細菌が生成したセルロースマスクが顔の皮膚特性と使用者満足度に及ぼす影響)

[3] Wang Y, Cao Y, Huang X, et al. Short-Term Skin Reactions and Changes in Stratum Corneum Following Different Ways of Facial Sheet Mask Usage(フェイシャルシートマスクの使用方法の違いによる短期的な皮膚反応と角層変化)

[4] U.S. Food and Drug Administration. Alpha Hydroxy Acids

[5] American Academy of Dermatology Association.(新しいスキンケア製品の事前試用方法に関する皮膚科専門家団体の案内)How to Test Skin Care Products(スキンケア製品を試す方法)

[6] Zhou L, Chen J, Chen T, et al. Investigation of Actual Exposure to Facial Sheet Mask Preceding Its Risk Assessment(フェイシャルシートマスクのリスク評価に先立つ実際の曝露量調査)