要点:化粧品の微生物学的受入基準には何を含めるべきか?
化粧品の微生物学的受入基準では、何をどの方法で試験するのか、各結果の限度値、基準を外れた場合の対応を明確にする必要があります。規格は、最終処方、想定使用者、使用部位、容器、対象市場、文書化した微生物リスク評価に適合させます。
- 総好気性中温性微生物数について、CFU/gまたはCFU/mLで表す定量限度。
- 規定した試験量(一般に1 gまたは1 mL)における特定微生物の不検出要件。
- 試験法適合性および保存剤中和の要件を含む、試験法名と適用版。
- チャレンジテストを行う場合の保存効力に対する個別の判定基準。
- 定めた採取地点、サンプリング計画、出荷承認権限、規格外(OOS)結果への対応手順。
試験機関の標準パネルをそのまま発注書に転記しないでください。パイロット承認と商業生産の前に、規格全体について合意しておく必要があります。

微生物試験は化粧品の品質管理システムの一部ですが、複数の異なる問いに答えるものです。最終製品の菌数試験では、試験した試料が合意済みの微生物限度を満たすか確認できます。しかし、それだけで、消費者の使用期間を通じて保存システムが汚染を抑えられることや、製造工程が一貫して衛生的であることまで証明できるわけではありません。
プライベートラベルブランドにとって実務上の目的は、単に「微生物試験」を依頼することではありません。製品のリスクプロファイルに、妥当性を確認した試験法、明確な限度値、ロット出荷判定基準、実務で活用できる記録を対応付けた規格を整備することです。本ガイドでは、一つの規格や証明書を万能な答えとみなさずに、その規格を構築する方法を解説します。
化粧品の微生物試験では何を測定するのか?
最終製品の定期試験では、規定した試料から所定の試験条件下で回収された生菌を測定します。ISO 17516では、化粧品に無菌性は求められていませんが、製品品質や消費者の安全に影響する可能性がある過剰な微生物数と特定微生物は管理する必要があります。[1]
試験項目は通常、定量試験と定性試験の二つに分かれます。定量試験では、1 gまたは1 mL当たりのコロニー形成単位として、回収可能な微生物数を推定します。定性試験では、規定量の製品から指定された微生物が検出されるかを確認します。ISO 21149は好気性中温細菌を対象とします。[5] ISO 16212は酵母およびカビを対象とします。[6]
試験結果の信頼性は、試験法による回収性に左右されます。サンプルを試験系に入れた後も保存剤が微生物を死滅させ続けると、実際より低い値が得られることがあります。そのため、適切な希釈、ろ過、または中和を行い、その製品マトリクスから微生物を回収できることを示す必要があります。[2]
微生物限度試験は、そのロットの品質をある時点で確認する試験です。保存効力試験(一般にチャレンジテスト)は、製品に意図的に微生物を接種し、時間の経過に伴う微生物数の減少または制御を評価します。ISO 11930では、低リスクと判断されない製品の総合的な抗菌保護性能を、チャレンジテストデータ、微生物リスク評価、またはその両方を用いて評価します。[3] ブランドは、試験計画と最終化粧品規格の中で、これらの結果を明確に区別して扱う必要があります。
最終化粧品はどの微生物学的受入基準を満たすべきか?
ISO 17516は、化粧品の微生物学的品質評価に広く用いられています。[1] SCCSガイダンスには、二つの製品区分と、それぞれの定量・定性限度が示されています。[2] 以下の表は有用な出発点ですが、採用する規格の版、対象市場の要件、製品区分、顧客要求事項を確認する代わりにはなりません。
| 判定項目 | 3歳未満の小児用、眼周辺用、または粘膜用の製品 | その他の化粧品 |
|---|---|---|
| 細菌、酵母、カビを含む総好気性中温性微生物数 | ≤1 × 10² CFU/g または CFU/mL | ≤1 × 10³ CFU/g または CFU/mL |
| Escherichia coli | 1 gまたは1 mLで不検出 | 1 gまたは1 mLで不検出 |
| Pseudomonas aeruginosa | 1 gまたは1 mLで不検出 | 1 gまたは1 mLで不検出 |
| Staphylococcus aureus | 1 gまたは1 mLで不検出 | 1 gまたは1 mLで不検出 |
| Candida albicans | 1 gまたは1 mLで不検出 | 1 gまたは1 mLで不検出 |
菌数基準の表現は重要です。SCCSの表では、総好気性中温性微生物数を細菌と酵母・カビの合計として示しています。一方、試験機関によっては、細菌数と酵母・カビ数を別々に報告します。採用した規格への適合を試験報告書の各項目がどのように示すのかを文書化せずに、異なる規格の用語や限度値を混在させるべきではありません。同じSCCS表には、平板培養による菌数測定のばらつきを考慮し、200 CFU/gまたはCFU/mL超、および2,000 CFU/gまたはCFU/mL超という解釈上のしきい値も示されています。これは結果を解釈するためのルールであり、規定された限度値を書き換えてよいという意味ではありません。[2]
「不検出」にも、規定した試験量が必要です。「陰性」とだけ記載しても、どれだけの量を試験したのか分からないため不十分です。規格には、対象微生物、求める結果、試験量、試験法を明記します。
これら4種は、品質や安全上問題となり得るすべての微生物を網羅する普遍的なリストではありません。ISO 18415では、特定微生物は各国の慣行や規制によって異なる場合があるとしています。[7] 処方組成、使用部位、対象使用者、容器、製造履歴、販売先市場によっては、リスクに基づき別の微生物を追加要件とすることが妥当な場合があります。項目を増やして厳格に見せるためではなく、リスク評価で必要性が示された場合に追加してください。
社内の警戒限度は、ロットが正式な不合格になる前に工程の変化を調査できるよう、出荷限度より厳しく設定する場合があります。二つのレベルは区別してください。警戒値はレビューを開始するための基準であり、品質契約に別段の定めがない限り、適否の判定には承認済みの受入基準を用います。
ISO 17516、ISO 11930、ISO 29621はどのように使い分けるのか?
三つの規格は、それぞれ異なる問いに答えます。同じものとして扱うと、開発とロット出荷判定に抜けが生じます。
| 規格 | 主な問い | 主な判断場面 |
|---|---|---|
| ISO 17516 | 化粧品は定めた微生物学的品質限度を満たしているか? | 最終製品規格とロット出荷判定 |
| ISO 11930 | 製品に十分な抗菌保護性能があるか? | 処方開発、保存システムの妥当性確認、変更時の評価 |
| ISO 29621 | 微生物学的に低リスクな製品であると合理的に説明できるか? | 一部の定期試験またはチャレンジテストを省略できるかどうかのリスクベースの判断 |
ISO 29621は、低水分活性、含水アルコール系、極端なpHなど、微生物リスクが低い可能性のある製品のリスク評価と識別を対象とします。[4] 「オイル」「バーム」「パウダー」「アルコール製品」と呼ばれているだけで低リスクになるわけではありません。文書化した評価では、実際の処方、微生物が利用できる水分、製造工程、容器、想定用途、予見可能な汚染を評価します。
したがって、低リスクという結論は、製造後に試験を省くための近道ではなく、文書化された技術判断です。使用した根拠、省略または削減した試験、その結論が有効である条件、再評価が必要となる変更を明確にします。
ブランドは微生物試験規格をどのように作成すべきか?
商業生産前に、以下の順序で決めてください。試験パネル、受入基準表、品質契約の内容が互いに矛盾するのを防げます。
- 製品と市場を定義する。 製品タイプ、処方バージョン、想定使用者、使用部位、洗い流す製品か洗い流さない製品か、一次容器、対象国、さらに医薬品その他の特別区分の規制対象となるかを記録します。
- 微生物リスク評価を完了する。 水分活性、pH、アルコールまたは溶媒レベル、栄養源となりやすい原料、製造工程、充填時の曝露、吐出機構、消費者との接触、使用期間、影響を受けやすい使用者を評価します。低リスクとの結論は、ISO 29621など適切な枠組みに照らして文書化します。[4]
- 適用する規格と試験法の版を特定する。 微生物限度規格、計数法・検出法、必要な場合のチャレンジテスト法、市場固有または顧客指定の試験法を明記します。「ISO準拠」とだけ書かないでください。契約では、追跡可能な規格番号や試験法の参照情報が必要です。
- 各受入基準を明確にする。 項目、限度値、単位、試料量、試験法、合否の判定表現を記載します。試験機関が別々に報告する菌数項目を、統合基準にどのように対応させるかも明確にします。追加の管理対象微生物は、製品リスクまたは市場要件で必要性が示される場合にのみ設定します。
- 試験法の適合性を確認する。 製品の抗菌作用が中和され、そのマトリクスから微生物を回収できることを確認します。定量限界または検出限界を下回る結果、菌が全面に発育して計数できない場合、製品マトリクスによる妨害がある場合について、報告方法と調査方法を事前に合意します。
- サンプリングと出荷判定の計画を確定する。 試料をバルクから採取するのか、充填の開始・中間・終了時から採取するのか、または最終包装品から採取するのか、誰が選定するのか、表示・輸送方法、試験機関が受け取る量、最終結果が出るまで出荷を保留するかを明確にします。サンプリング計画はロットを代表するものである必要がありますが、一つの試料でロット内のすべての製品が同一であることを証明できるわけではありません。
- 変更管理の再評価条件を設定する。 処方、保存システム、原料調達先、工程、バッチスケール、製造サイト、一次容器、想定用途、対象使用者、保存期間、販売先市場を変更した場合は、計画を再評価します。
この規格は、より広いスキンケア製品の試験計画と連動させる必要があります。安定性、容器適合性、微生物学的品質、保存性、安全性、表示・訴求の裏付けは、同じ商業用サンプルを使う場合でも目的が異なります。
微生物試験結果をロット出荷判定にどう反映すべきか?
必要な結果が承認済み規格を満たし、権限を持つ品質部門がレビューを完了した場合にのみロットの出荷を承認します。報告書では、製品、処方または品目コード、ロット番号、試料の説明、試験法、限度値、単位、試験日、試験機関の承認情報が正しく一致していることを確認します。
特定微生物が検出された場合、または菌数が出荷基準を超えた場合は、対象ロットを隔離し、規格外(OOS)結果として文書化した調査を開始します。サンプリング、試験法適合性、対照、計算、試験室での取扱い、製造記録、水および原料の試験結果、洗浄記録、環境情報、充填条件、容器の完全性、関連ロットの結果を確認します。FDAガイダンスでは、汚染された水や原料、不適切な製造条件、不十分な保存性、不適切な容器、さらに輸送・保管・消費者使用を、汚染につながる可能性のある経路として挙げています。[8]
合格結果が出るまで分析を繰り返して「規格適合に持ち込む」ような再試験は行わないでください。再試験は、事前承認された手順と科学的に妥当な調査に基づいて実施します。最初の結果も記録の一部として残します。確定した不適合により製品が安全でない、または汚染されている可能性が示された場合、ロットの処置と市場対応は、適格な品質・薬事担当者が判断する必要があります。
すべてのロットが合格していても、結果の傾向を確認してください。菌数の上昇、低レベルの分離菌が繰り返し検出されること、試験法上の問題の反復、充填位置による差は、正式な不適合が発生する前に工程管理の低下を示すことがあります。社内警戒限度やトレンド管理基準は、契約上の出荷限度を事実上置き換えることなく、調査開始の判断に利用できます。
最終製品試験だけで不十分なGMP管理を補うことはできません。FDAの化粧品査察ガイダンスでは、衛生的な施設・設備、管理された原料、適切な工程内および最終製品のサンプリング、有害微生物の試験を製造管理の一部として取り上げています。[9]
微生物学的な出荷判定を裏付ける記録には何が必要か?
実務で使える微生物試験記録一式は、何を試験し、なぜ受入可能と判断し、誰が出荷を承認したのかを、ブランドとメーカーが後から再構成できる内容にする必要があります。以下を含めるか、参照できるようにします。
- 承認済みの最終製品規格とその改訂履歴。
- ISO 29621に基づく低リスクの根拠を含む製品リスク評価。
- 試験法、現行版、試験機関の手順、試験法適合性を示す資料。
- 該当する場合のチャレンジテストのプロトコルと報告書。
- サンプリング計画、試料識別情報、受渡し管理記録、試験機関への提出記録。
- 全試験結果、計算、対照、必要に応じた微生物同定結果、承認済み報告書。
- ロット出荷承認、および逸脱、警戒、OOS、調査、是正措置、ロット処置に関する記録。
- 処方、工程、サプライヤー、製造サイト、容器の変更時に再試験が必要かを示す変更管理記録。
分析証明書(CoA)は出荷判定結果を要約できますが、判断を裏付ける唯一の記録にすべきではありません。ブランドとメーカーは、ブランドが受け取る文書と、メーカーが管理・保管し調査時に提示できる記録を合意しておく必要があります。より包括的なメーカー文書一式では、試験報告書を規格、バッチ記録、品質契約、規制上の責任と関連付けます。
ZICAILと微生物試験を計画する
ZICAILは、プライベートラベルおよびOEM/ODMのスキンケアプロジェクトで、製品とプロジェクトの要件に応じた処方計画、サンプリング、生産調整、品質確認、製品試験を支援しています。公開されている認証・試験情報は、出荷前の最終製品検査および製品関連試験に対応していることを示しています。
プロジェクト相談の際は、製品タイプ、処方または開発段階、対象使用者、使用部位、一次容器、販売市場、想定保存期間、小売業者や顧客の基準があればその内容を準備してください。量産前に、微生物規格、必要な報告書、出荷判定責任を整理するため、ZICAILにお問い合わせください。
化粧品の微生物試験に関するFAQ
化粧品は無菌である必要がありますか?
いいえ。一般的な化粧品は通常、非無菌製品です。微生物レベルを管理し、品質や安全性に影響する特定微生物やその他の問題となる微生物を含まないようにする必要があります。[1] 無菌品として表示する製品や、別の規制区分に該当する製品には、異なる規格とバリデーション手法が必要です。
化粧品はすべてのロットで微生物試験が必要ですか?
対象市場で適用される枠組みと、文書化したリスク評価によって異なります。SCCSガイダンスは、最終製品の各ロットについて定期的な微生物分析を求める一方、低リスクと評価された一部の製品など、最終製品試験を省略できる合理的なケースも認めています。[2] 製品形態だけを理由に適用除外と判断してはいけません。根拠、管理措置、品質契約は出荷判定前に文書化しておく必要があります。
チャレンジテストと微生物限度試験は同じですか?
いいえ。微生物限度試験は、提出された試料から回収される汚染レベルを出荷基準と比較します。チャレンジテストは処方に意図的に微生物を接種し、その抗菌保護性能が時間の経過とともに微生物をどのように制御するかを評価します。[3] 製品リスクと市場計画上、両方が必要な場合は、一方の合格で他方を代替することはできません。
低リスク化粧品では保存効力チャレンジテストを省略できますか?
可能な場合はありますが、文書化した微生物リスク評価によってその判断が裏付けられる場合に限ります。ISO 11930では、その枠組みに基づき低リスクと判断された製品は対象外です。[3] ISO 29621は、低リスク評価の枠組みを示しています。[4] 処方組成、微生物が利用できる水分、pH、アルコール濃度、工程、容器、使用方法、対象消費者に影響する変更があった場合は、結論を再評価します。
出典
[1] International Organization for Standardization. ISO 17516:2014 Cosmetics — Microbiology — Microbiological Limits(化粧品―微生物学―微生物限度)
[2] Scientific Committee on Consumer Safety. Notes of Guidance for the Testing of Cosmetic Ingredients and Their Safety Evaluation, 12th Revision(化粧品成分の試験および安全性評価に関するガイダンスノート 第12版)
[3] International Organization for Standardization. ISO 11930:2019 Cosmetics — Microbiology — Evaluation of the Antimicrobial Protection of a Cosmetic Product(化粧品―微生物学―化粧品の抗菌保護性能の評価)
[4] International Organization for Standardization. ISO 29621:2017 Cosmetics — Microbiology — Guidelines for the Risk Assessment and Identification of Microbiologically Low-Risk Products(化粧品―微生物学―微生物学的低リスク製品のリスク評価および特定に関するガイドライン)
[5] International Organization for Standardization. ISO 21149:2017 Cosmetics — Microbiology — Enumeration and Detection of Aerobic Mesophilic Bacteria(化粧品―微生物学―好気性中温細菌の計数および検出)
[6] International Organization for Standardization. ISO 16212:2017 Cosmetics — Microbiology — Enumeration of Yeast and Mould(化粧品―微生物学―酵母およびカビの計数)
[7] International Organization for Standardization. ISO 18415:2017 Cosmetics — Microbiology — Detection of Specified and Non-Specified Microorganisms(化粧品―微生物学―特定および非特定微生物の検出)
[8] U.S. Food and Drug Administration. Microbiological Safety and Cosmetics(微生物学的安全性と化粧品)
[9] U.S. Food and Drug Administration. Good Manufacturing Practice Guidelines/Inspection Checklist for Cosmetics(化粧品の適正製造規範ガイドライン/査察チェックリスト)
